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実例(罫線の折り曲げ強度に関して)


紙器関係のパッケージ製作で多くの会社を悩ませているのが
『紙粉』・『罫線管理』だと思います。
紙粉に関しては分かり易い説明が過去ブログにありますので、そちらを是非ご参照下さい。
わたくしは罫線管理に関してご説明致します。

先月、お客様から罫線強度のご相談を受けました。
新規商材ではなく、3年ぐらい前から生産している製品で、今回もいつも通りに抜き作業を行い、手で折り曲げる罫線チェックも問題なく、貼り工程でもトラブルは発生せず、通常通り出荷。
しかしながら、客先で充填する際、箱の起き上がりが悪かったと指摘を受けたとのことでした。
(可能性としてはパッケージ、充填機の設定のどちらにも原因があるかも知れません)

充填機の問題だった場合はこちらではどうしようもありませんが、罫線管理に関する他社事例などを紹介し、『数値による罫線管理』を提案しました。

過去のブログでも度々登場するキラーワードですが、オペレーターの感覚のみに依存する罫線管理では、上記の様なトラブルが発生することは珍しくありません。測定機を使った『数値による罫線管理』がひとつの解決策となります。

今回はトラブルがあったサンプルとそれを改善したサンプルを用意してもらい、当社で販売している『罫線剛さ測定機BST-α』を使い、折り曲げ強度を比較をすることにしました。
詳しい説明は省きますが、改善品はトラブルがあった製品の設定よりも0.1mm程度押罫(罫線)が強く入る様な設定とし、計3種のサンプルを準備して貰いました。
2ヶ所(第2・第4罫線)/面×3種を測定した結果が下の表となります。
実例(罫線の折り曲げ強度に関して)_a0118799_18241582.jpg
実例(罫線の折り曲げ強度に関して)_a0118799_18271219.jpg
グラフの縦軸が折り曲げ強度を表しており、山が高いほど折り曲げ難いということになります。
サンプル3種を実際に手で折り曲げ、『感覚的』に一番良いと判断していたサンプル(グラフ上の赤)が『数値的』にも折り曲げ易いという結果になりました。
単純に数値だけを比較すると10%~20%程度は改善された様な結果となりました。

この様に人間の感覚に頼るだけでなく、測定機を使った数値化により、どの程度改善されたかも分かるようになり、説明をする際により説得力が増すのではないでしょうか。
また、このサンプルを充填機にかけ、問題がなければ、今後はこの折り曲げ強度がひとつの基準となります。次回生産時にこの数値に近い値になる様に調整することで、同様のトラブルを未然に防ぐことに繋がります。

最後までお付き合いいただきありがとうございます。

秋の気配が近づきつつも、まだまだ暑い日が続きますのが、
今年もクーラーを使わず乗り切れそうな気配(汗)。






  by diemex | 2022-09-07 08:00 | Trackback | Comments(0)

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