技術的なおはなしvol.12「罫線条件のおはなし その2」
皆様夏休みはいかがお過ごしでしたでしょうか?
私は3年ぶりに帰省し、地元を満喫しました。
さて引き続き、罫線条件のお話です。
前回は弊社での罫線条件算出方法についてご説明しました。
https://diemex.exblog.jp/241525445/
もちろんそれぞれのお客様で経験的に条件を決められているので、弊社の計算式じゃないとだめというわけではないんですが、中にはこれは良くないよねというのもあったりします。
その内いくつかをご紹介します。
例1)溝の深さに余裕がない。
弊社では、溝の深さ=紙厚+0.1㎜としております。
例えば、0.4㎜厚の紙であれば溝深さ0.5㎜ですね。
この場合、押罫の高さは23.0㎜となります。
ある会社様の場合、溝深さ=紙厚でしたので、条件として溝深さ0.4㎜押罫高さ23.1㎜でした。
この段階で、紙が溝の底に接する「底付き」の状態になっています。
硬めの紙であれば、この条件でもそれなりの罫線ができるのですが、ふわふわの紙だときちんと罫線が入ってくれません。そこで押罫にムラ取りをしたところ、罫割れが発生したとのこと。
経緯をお聞きしたところ、プレスボードを使っていた時の条件をそのまま流用しているとのことでした。若い方はご存じないかもしれませんが、溝テープやCAD面板が普及する前は、鉄板に硬い紙を貼って押罫が当たる部分を切り抜くプレスボードが主流でした。手間がかかる上に、製作者の技量によって差が出てしまうことから廃れていってしまいました。
熟練した方だと、CAD面板よりもきれいに仕上がるので、個人的には好きだったんですが…
プレスボードは切り抜くCAD面板はバラバラにならないために溝の底を残す、ここで溝の深さに差がでます。ここを認識しておかないと、本件のような不具合がでることがあります。
例2)溝が広い
前回お伝えした通り、溝幅=紙厚×1.5+押罫厚み+α(αは0.1~0.2㎜)で設定しています。
溝幅の設定は、溝深さよりも会社毎に差がでてきますね。ある会社様の場合は紙厚×2.0+押罫厚み+αとされていました。罫線作成時、押罫と罫溝の角部の最短距離に一番力がかかってその状態で押し込むことで紙の内部の層が剥離されます。×2.0だとその効果は薄いですね。紙にもよりますが、この場合剥離が少なくて折っても太鼓型になりやすいです。
例3)紙の厚みによって押罫を変えていない
罫が割れるとご相談を受け、確認したところ他社様作られた型で0.5㎜の紙を抜く型なのに、押罫高さが23.1㎜でした。この条件だと割れますよねということで、計算式をご教授しました。型屋さんが悪いかどうかは分かりませんが、最低限紙厚の情報共有は必要かと思います。
今回もお読みいただきありがとうございました。(だ)
by diemex | 2022-08-16 11:11 | Trackback | Comments(0)