技術的なおはなしvol.4「紙粉の話(その2)」
前回に引き続いて紙粉のお話です。
まずは、個人的に一番大きな原因は紙だと考えています。
お客様からのよく言われるのは、「安価な紙ほど紙粉が出やすい!」です。
まぁそうなんだろうなぁという感想です。
あるいは、カード紙やベタ塗りのものも出やすいですよね。
もちろん、紙を変えれば良くなる可能性は高いのでしょうが、そうはいかないのが現実かと思います。
その際は、いつも通りに型を作ってもダメなので、ちょっと特殊な仕様をご提案しています。
「冬になると紙粉がでるんだよなぁ」
→環境の影響ですよね。
前のブログで刃先が60[μm]ぐらいから紙粉が出始めると書きましたが、これは割と湿気があるときの話なんです、残念ながら...
ちなみに乾燥時期では40[μm]程度から紙粉が発生した実験結果があります(グラフ1)。

それとは別に打ち抜き回数と刃先幅の関係もわかっています(グラフ2)。

単純にこのグラフを見ていくと、おおよそ4000ショットで、刃先は40[μm]に達し、60万ショットで60[μm]となります。もちろん刃が柔らかいともっとつぶれるスピードは速くなります。
ちょっと強引ではありますが、この2つのグラフから、乾燥しているときは4000ショットで、湿度が高い場合は60万ショットで紙粉がでてくることになります。
紙の保管時や打ち抜き時の環境(湿度)が紙粉発生に影響を与えていることがわかります。
ということで環境って大事ですよね。
最後に面板ですが、掘れていると紙粉は出やすいです。個人的に「刃も面板も硬ければ硬い方が良い」信者です。紙粉でお呼ばれしたときに、切刃の部分ががっつり掘れた面板を見たことがあります。ここまで来たら交換しかないですとご説明したのが20年前…
硬い簡易保存板の普及により、こういったことは少なくなっていますが、紙粉がでたら一度ご確認された方が良いかと思います。
なお、ここでは書けないこともありますので、興味があればお気軽にご連絡いただけると嬉しいです。
ご連絡先:web_info@diemex.com
次回は、刃の硬さについてお話しします。
お付き合いいただきありがとうございました(だ)
参考文献
板紙類の押抜き加工 (複合材型加工研究会・著) ISBN 978-4-86420-155-1
by diemex | 2021-10-04 11:27 | Trackback | Comments(0)