技術的なおはなしvol.3「紙粉の話(その1)」
紙粉って打ち抜きの大敵ですよね。
残念ながら、紙を切っていますので紙粉は必ず出ます!!
もちろん、微少のものは問題にならないので、気にする必要はないかと思います。
で、色々なお客様から紙粉を抑えたいというご相談を頂戴しております。
その際は“要因がどこにあるか”がカギになります。
個人的には、紙>環境=ゴム>面板>切刃かと思っています。
最初から、紙が悪いだと話が進みませんので、今回は切刃とゴムの要因についてお話します
まずは打ち抜きの初期段階で起こる紙粉です。
使用前の切刃は非常にとんがっています!
これを鉄板に打ちつけるわけですから、当然刃先は潰れます。
この時って、左右対称ではなく、必ず片方に倒れるんですよね(かえりと言っています)。
その結果、刃先が切り口を削ってしまい、紙粉やめくれが発生します。
できるだけ低い圧から始めていただくといくらかましになるのですが…
その際、倒れた刃先をサンドペーパーで削られている方も多いのではないでしょうか。
切刃でできる対策としては、かえりが少なくなる先端二段刃を使ったり、あらかじめ刃先が丸い切刃を使うことがあります。
このかえりは使っていくと無くなってしまうので、ある程度抜くと収まっていく傾向にあります。
打ち抜き回数が多くなってくると、刃先が潰れて紙粉がでてきます。過去の研究から、60[μm](1[μm]=1/1000[mm])付近から発生することがわかっています。
前回の「紙が切れる話」ででてきた表面破断がどのタイミングで起こるかによって左右されます。単純にいうと、それは刃先が潰れているほどタイミングが遅く紙粉が出やすくなります。また、刃のつぶれと刃先の硬さは比例関係があり、当然硬い刃の方が潰れにくいため紙粉の発生を遅らせることができます。実際、どの程度まで使えるかは皆さん把握されていると思いますので、潰れたら交換でいいかと思います。
中には最初から最後まで紙粉が出続けることもあるともお聞きしています。
この場合、まずはお使いの抜型の確認をします。
で、よくあるのが、ゴムがしっかりと貼られていないことです。
紙器の場合、いわゆる点貼りはダメです。貼っていないところで紙粉やバリが発生します。
またやわらかいゴムだと抑えが効かず、罫に引っ張られたりもします。
ざっくりですが、全切れ部分は45度以上、ジッパーや穴は65度以上、糊代と貼代じゃコルクや白いゴムでいいかと思います。
また、罫線を強く出さなきゃなんてときもゴムをうまく使えば良くなることはあります。
次回は、紙粉発生の要因「環境・紙・面板」についてご説明します!
(だ)
参考文献
板紙類の押抜き加工 (複合材型加工研究会・著) ISBN 978-4-86420-155-1
by diemex | 2021-09-06 13:26 | Trackback | Comments(0)